面倒な相続手続きを簡素化:「法定相続情報証明制度」が始まりました

2017.08.21 News

相続においては、遺産分割による不動産の名義変更(移転登記)、預貯金等の口座の名義変更などのために、登記所(法務局)や金融機関ごとに、戸籍関係書類を提出する必要があります。

平成29年5月29日より、戸籍関係書類の束に代えて、法務局の証明書1枚で相続手続ができる「法定相続情報証明制度」が始まりました。

 

近年、不動産の所有者が亡くなった際に、相続登記(所有権の移転登記)が未了のまま放置されている不動産が増加し、これが「空き家」や「所有者不明土地」の一因となっていると問題視されています。

 

法定相続情報一覧図の写し

※画像をクリックすると拡大されます

相続手続では、相続関係を証明するために戸籍関係書類の束を、登記所や金融機関に、その都度提出する必要があり、預金口座が複数ある場合は、その手続が大変でした。

 

新たに始まった「法定相続情報証明制度」は、戸籍関係書類の束に代えて、法務局から交付される「認証文付き法定相続情報一覧図の写し」(以下、「一覧図の写し」)を、登記所や金融機関等に提出することで、相続手続の負担軽減を図る制度です。

※右図は、法定相続情報一覧図の写しの例(出典:法務省HP「法定相続情報証明制度について」)です。

 

「一覧図の写し」は、「法定相続人が誰か」を登記官が証明した書類ということになります。

 

ただし、相続に関する基本的なものにのみ対応し、遺産分割協議や相続放棄等があった場合は、別途、遺産分割協議書等の書類の提出が必要なのでご注意ください。

 

本制度は、遺産に不動産がなく、銀行預金だけの場合でも利用が可能ですが、預金等の払戻しについて「一覧図の写し」で良いかどうかは、金融機関によりますので、金融機関にご確認下さい。