空室のある賃貸マンション、アパート等を相続してしまったら・・・・

2022.08.05 Column

 相続等で、賃貸マンションやアパート等の不動産を取得した際に、空室があった時はどうなるのでしょうか?

 

  1. 1.  相続等で財産を取得する際の空室の取扱いは・・・・?

 相続や遺贈で財産を取得する場合、財産は時価で評価します。
 貸家および貸家の敷地の用に供されている貸家建付地を相続や遺贈で取得した場合は、賃借人が建物を使用することで支配権を有しているため、貸主の側も利用に受忍義務が生じることから、評価額が減額されます。しかし、賃貸されていない貸室部分は、賃借人の権利が存在しないため、評価額は減額されず、自用地としての評価が行われます(つまり、貸家建付地としての評価額よりも高いものとなります)。

 

2.  不動産所得における一時的空室の取扱いについて

  1.     一方で、賃貸マンションやアパート等の不動産所得を計算する時は、空室期間が1か月を超える物件があった際、その物件が賃貸業務を継続中であれば、貸付の用に供されているものとして減価償却費などを経費として算入することができます。

 

 両者の違いは、

◎財産評価は、相続開始時のストックの評価額としてとらえる

のに対し、

◎不動産所得は、1年間の総収入金額と必要経費の額の、フローの金額としてとらえられる

という、見る観点が異なることから発生していると思われます。

 

 いずれにしても、相続等で賃貸マンション、アパート等を取得した時は、資金繰りの観点からも、空室期間を長期化させないことがポイントとなります。募集活動を頑張って行い、空室の期間の短縮を図って行くことが必要です。

 

(参考文献: ゆりかご倶楽部「税務/会計トピックス」より)