2022.10.06 Column
いよいよ来年10月より、消費税の適格請求書等保存方式(インボイス制度)が
スタートします。
インボイス制度は、課税事業者にも免税事業者にも大きな影響を及ぼす制度です。
インボイス制度においては、基本的に課税事業者(個人・法人を問いません)は、
「適格請求書発行事業者」として登録し、登録番号が付与されます。
そして、請求書や領収書にこの登録番号を記載し、いくら消費税を預かったかを
明確にします。
一方、免税事業者(基本的には基準期間の課税売上高及び特定期間の課税売上高等が
1千万円以下の事業者。課税事業者を選択している事業者を除く)は、実質消費税を
もらっていないこととなります。
事業者は、
(売った時に受け取る消費税額)-(買った時に支払った消費税額)
で計算した消費税額を納税しなくてはなりません。
また、それ以外にも法人税や地方税を支払わなければなりません。
それでは、インボイス制度が導入されるに当り、免税事業者はこれからどうしたら
良いのでしょうか?
★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★
ここで、免税事業者のままでいるか、課税事業者になって適格請求書発行事業者と
して登録しようか、どちらにしようか迷っているA社がいます。
A社は法人で、
課税売上900,000円
課税仕入450,000円
(消費税率すべて10%、法人税の実効税率は簡便的に30%)
であると仮定します。
さて、以下のそれぞれのケースにおいて、A社の手元に残るお金がどのくらいになる
でしょうか?
①課税事業者(適格請求書発行事業者)
②-a)免税事業者で消費税をもらわなかった場合
②-b)免税事業者で消費税をもらった場合
<計算結果>
①課税事業者(適格請求書発行事業者)
課税売上900,000円+売上消費税90,000円
-課税仕入450,000円-仕入消費税45,000円
-納付消費税45,000円
-法人税135,000円
=315,000円
②免税事業者
a)消費税をもらわなかった場合
売上900,000円
-仕入450,000円-仕入消費税45,000円
-法人税121,500円
=283,500円
b)消費税をもらった場合
売上900,000円+売上消費税90,000円
-仕入450,000円-仕入消費税45,000円
-法人税148,500円
=346,500円
②-b)免税事業者で消費税をもらった場合が、一番A社の手元にお金が残ります。
しかし、②-a)のように免税事業者のままでいた場合に消費税をもらえなかったら、
①の課税事業者(適格請求書発行事業者)となった場合よりも、手元に残るお金が
少なくなります。
各事業者が、置かれた立場と取引先を考えて、慎重な判断が必要となりますね。
適格請求書発行事業者の登録申請の期限は、令和5年3月31日です。